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2022年07月21日 (木)
プラスチック
解説

【プラスチック新法】東京23区におけるプラ新法動向

本稿では、東京23区におけるプラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)への対応動向を解説する。

 

東京23区の現状と動向

現在、プラスチック製容器包装 (以下、容リプラ)を分別収集し、指定法人ルート(容器包装リサイクル法に規定する指定法人に委託する方法)を通じて再資源化しているのは、23区中12区と約半数であり、実施率に換算すると52.2%となる。この数字は、全国の区市町村における実施率(76.7%)と比較すると、かなり低い水準だといえる。しかも、容リプラとプラスチック使用製品廃棄物 (以下、製品プラ)の一括回収を実施しているのは、港区と千代田区の2区のみである。

東京23区の特徴として、自前の中間処理施設(指定保管施設)を保有しているのは港区のみであり、ほとんどの区が民間業者に中間処理を委託している。これは、人口密度が高く、且つ工業系の用途地域も限られているため、自区内で中間処理施設を確保できない区の方が圧倒的に多いという、23区ならではの事情となっている。

 

各区がウェブサイトで公表している令和4年度の予算案を基に、プラ新法への対応動向を調査した結果を下記に示す。

プラ新法に関連した計画・予算を確保しているのは、下表のとおり23区中10区であった。全体の傾向として、容リプラの分別収集を未実施の区ほど、積極的に製品プラの分別収集・リサイクルに取り組む計画を立てている。

 

表 令和4年度におけるプラ新法に関連した各区の計画

人口

(万人)

容リプラ

製品プラ*

各区の計画における関連項目

計画概要

世田谷区

94

×

検討

プラスチック資源循環施策のあり方検討

家庭から排出される使用済みプラスチック使用製品の分別回収・再商品化のあり方を検討。

練馬区

75

検討

不燃ごみの資源化事業 プラスチック資源循環の促進

①容器包装プラスチック回収事業を、R4年度から段階的に民間事業者に一元化。②プラスチック資源化事業全般の再構築に取り組む。

大田区

74

×

本格実施

資源プラスチック回収事業

容リプラ(一部品目のみから全般に拡大)+製品プラを対象に一括回収を開始。R4年度に一部地域での先行実施。R5年度以降、地域拡大等を検討。

足立区

69

×

検討

容器包装プラスチック・製品プラスチックの分別収集に向けた検討

容器包装リサイクル法のリサイクルルートを活用したスキームを検討・構築。

江戸川区

69

検討

資源化品目拡大へ向けた基礎調査

区民アンケート、製品プラスチック量の推計・性状の把握、二酸化炭素排出量の推計。

北区

35

×

本格実施

プラスチックをごみから資源へ

R4年10月から滝野川地区で容リプラと製品プラの一括回収を開始。R5年4月から王子・赤羽地区に拡大。

豊島区

30

×

検討

プラスチック分別収集モデル事業

容リプラと製品プラを収集する仕組みを構築する。R4年度はモデル実施に向けた区民説明会やチラシポスティング等の周知を行う。

渋谷区

26

×

本格実施

プラスチック資源回収事業

R4年7月から一括回収開始(30cm角以内、一部金属可)。中間処理施設で破袋・選別し、容リプラと製品プラを分別。

荒川区

22

×

実証

廃プラスチックのモデル回収の実施

一部自治会等の協力を得て廃プラスチックのモデル回収を実施し、区民への周知方法や、排出時・回収時における課題の検証を行い、その改善を図ることで、廃プラスチックの円滑な資源化を推進する。

台東区

21

×

実証

プラスチック資源のリサイクル

モデル事業を区内の一部で実施し、区民に分かりやすい分別方法の周知や資源化手法について検証する。 モデル事業の参加者を対象に、排出実態調査および意識調査を行い、本格実施に向けた基礎資料とする。R5年度に本格実施に向けた検証、R6年度以降に本格実施。

*3つの段階(検討→実証→本格実施)で分類
出所:各区の予算案を基にブライトイノベーションで作成

 

令和4年度の各区の計画を3つの段階で整理すると、以下のとおりである。


① 検討(スキームを検討・構築など)・・・世田谷区、練馬区、足立区、江戸川区、豊島区
② 実証(モデル事業を一部地域で実施・検証など)・・・荒川区、台東区
③ 本格実施(対象地域の拡大など)・・・大田区、北区、渋谷区

 

本格実施の取り組み

以前より一括回収を実施している港区、千代田区に続く3区目として、プラ新法施行後に初めて一括回収を開始したのが渋谷区である。

渋谷区では2022年7月より、プラスチックの分別区分をこれまでの「可燃ごみ」から「資源」に変更した。これは製品プラの指定法人ルートでの再商品化が実質的に運用開始となる令和5年度に先んじて、独自ルートでのリサイクルを開始した形である。

回収する製品プラの特徴としては、プラスチック100%の品目だけでなく、金属フックがついたハンガーなど、金属つきでも可としている点が挙げられる。YouTubeに上げられている説明動画によると、同じ袋で一括回収したプラごみは、中間処理施設で容リプラと製品プラに分別され、それぞれの特徴に応じてマテリアルリサイクルあるいはサーマルリサイクル(RPF)されるようである。

 

北区では、区内の3つの地区のうち、2022年10月から滝野川地区で、2023年4月から王子・赤羽地区で一括回収を開始する計画である。回収する製品プラはプラスチック100%のもので、金属(ネジなど)つきは回収不可となる。回収したプラスチックは、中間処理施設にて破袋、風力選別、手選別などによって選別・圧縮・梱包が行われる。その後、容リプラは容リ法ルートで指定法人へ、製品プラは再資源化事業者にてサーマルリサイクル(RPF含む)や化学肥料化、マテリアルリサイクル(プラスチック原料化)されるようである。

 

大田区の取り組み開始時期は不明だが、「令和4年度に一部地域での先行実施、令和5年度以降に地域拡大等を検討」となっている。現在は容リプラのうち一部の品目(ペットボトル、トレイ、発砲スチロール)のみを回収しているが、これを容リプラ全般に拡大し、同時に製品プラの回収を開始する計画である。回収する製品プラの内容について、2022年7月21日時点では公開されていないようである。

 

解説
東京23区においては、自前・民間委託ともに、中間処理施設の確保が最大の課題となっている。また、既存の中間処理施設においても、製品プラの回収による廃棄物の排出量増加に対応するための処理能力の増強や、製品プラの選別・圧縮等に対応した設備・ラインの変更などが必要になることが予想される。遠方の中間処理施設を活用せざるを得ない場合は、効率的な一次収運が難しくなり、収集効率が課題となる。家庭から始まる、一次収運、中間処理、二次収運、再資源化事業者までのルートを、いかに効率的につなぐことができるかがポイントとなる。

 

【参考資料】
各区ウェブサイトにて公表している令和4年度予算案

渋谷区ウェブサイト
北区ウェブサイト
大田区 令和4年度予算(案)の概要

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