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2020年11月11日 (水)
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欧州委員会「新循環型経済行動計画」の概要③

 

 2020年3月に欧州委員会が発表した「新循環型経済行動計画」の概要を4回にわたって紹介する。第3回目は「主要なバリューチェーン」の抜粋を掲載する。

 

主要な製品バリューチェーン


 主要なバリューチェーンが抱える持続可能性の課題に対して、緊急性、包括性、協調性の高い行動が求められる。これらの行動は持続可能な製品政策の枠組みに不可欠な要素であり、気候非常事態への対応に貢献するものである。

 また、EU産業戦略に加えて、生物多様性戦略、Farm to Fork戦略(農家・企業・消費者・自然環境が一体となり、共に持続可能な食料システムを構築する戦略)、森林戦略に反映される。欧州委員会は、セクター別行動のガバナンスの一環として、循環型製品の市場拡大における障壁とそれに対処する方法を、主要バリューチェーンのステークホルダーと緊密に協力して特定する。

 

①エレクトロニクスとICT


 EU域内における電気・電子機器のリサイクル率は40%以下であると推定されている。一方で、廃棄物発生増加率が非常に高い産業の1つであり、年間増加率は2%である。製品は、修理・交換不能、ソフトウェアのサポート終了等の理由で廃棄されるが、欧州委員会が行ったアンケート調査によると、ヨーロッパ人の3分の2は性能に支障がなければ現在の機器を引き続き使用することを望んでいる。欧州委員会は“Circular Electronics Initiative”を提案し、既存および新規の機器について、製品の長寿命化を目指して「持続可能な製品政策枠組み(Sustainable Product Policy Framework)」に則り以下のアクションを取りまとめた:


・携帯電話、タブレット端末およびラップトップ・コンピューターに関して、“Ecodesign Directive”に基づいた規制措置を導入し、製品設計時に、エネルギー効率、耐久性、修理可能性、アップグレード期間、メンテナンス、リユース、およびリサイクルについて考慮する。追って公表される“Ecodesign Working Plan”において詳細が示される。
・エレクトロニクス・ICTの分野を、「修理する権利」を優先的に導入する産業分野とする;旧式のソフトウェアを更新する権利も含まれる。
・携帯電話等の充電器を共通化する、購入の際にデバイスと充電器を切り分ける等の規制措置を導入する。
・廃棄される電気・電子機器の回収および処理を改善する。EU全体における携帯電話、タブレット端末、および充電器の返却・売却を含む。
・電気・電子機器内の有害物質に関するEU域内の規制を見直す。REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)およびEcodesign等の関連する規制の改善を目指すガイダンスを提案する。

 

②バッテリーと車両


 持続可能なバッテリーおよび自動車は今後のモビリティを支える。電気自動車のバッテリーにおける新たなバリューチェーンの持続可能性および全てのバッテリーの循環可能性の迅速な促進のために、“Batteries Directive”の評価および“Batteries Alliance”の活動の上に構築された新たな規制上の枠組みを提案する:


・リサイクル材含有率に関する規制ならびに全バッテリーの回収率およびリサイクル率向上、高価値素材の回収および消費者へのガイダンスの提供の方策に関する規制
・代替品がある場合に関して、使い捨てバッテリーの段階的な廃止に向けた検討
・バッテリーの持続可能性および透明性の要件:バッテリー製造時の二酸化炭素排出量、原料の倫理的調達、調達の安全性およびリユース・リサイクルの容易性

 

 欧州委員会は、より循環性の高いビジネスモデルの促進を目的として、使用済み車両に関する規制の改正を提案する。廃車処理を考慮した設計時の課題、特定の部品に関するリサイクル材含有率の義務化、リサイクル効率の改善および廃油の回収や環境に配慮した処理方法等。

 より大局的な視点では、追って発表される“Comprehensive European Strategy on Sustainable and Smart Mobility”において、循環型経済への移行との相乗効果を高めることが検討されている。特に、バージン材の消費量削減、持続可能な代替輸送燃料の使用、インフラおよび車両使用の最適化、占有率および積載率の増加および廃棄物と汚染の除去に対して、製品のサービス化(product-as-service)をソリューションとして適用する。

 

③包装


 包装材の原料は増加を続けており、EUにおける2017年の包装材の廃棄物量は過去最大であり、一家庭当たり173㎏にのぼる。欧州委員会はEU市場の全ての包装材を2030年までにリユースもしくはリサイクル可能にするために”Directive94/62/EC27”を見直し、EU市場における包装材の義務要件を強化し、その方策を検討する:


・目標の設定もしくはその他の方策により、包装材及び包装材廃棄物を削減する。
・包装のリユースおよびリサイクル性を考慮に入れた設計を推進する。特にリユース可能な代替物やシステムがある場合や、包装なしで消費者が安全に取り扱いできる場合には、特定の包装材の使用を制限する。
・包装材の数や使用されるポリマーの数など、包装材の複雑性の軽減を検討する。

 

 分別システムのハーモナイゼーションに対するイニシアチブの一環として、包装廃棄物の正しい分別を円滑にするために、EU全域にわたって使用可能なラベリングの実現性を評価する。

 また、PETを除く、食品に接するプラスチックのリサイクル包装材の安全性に関するルールを構築する。欧州委員会は、ボトル水の包装材廃棄物の削減にあたって、公共の場所における飲用の水道水を利用できるよう、“Drinking Water Directive”の要件導入を厳格に監視し支援する。

 

④プラスチック


 “EU Strategy for Plastics in the Circular Economy”は社会的関心を受けて始動したが、今後20年でプラスチックの消費量は倍増すると予測されている。欧州委員会は更なる対策を講じ、グローバルレベルのプラスチック汚染に対して引き続き協調的な取り組みを推進する。

 欧州委員会は、再生プラスチックを普及させ、プラスチックのより持続可能な使用に貢献するために、包装材、建設資材および車両等の主要製品に関して、“Circular Plastics Alliance”の活動も考慮に入れつつ、再生プラスチックの内容物および廃棄物削減施策の義務的要件を提案する。

 プラスチックゴミ削減施策に加えて、マイクロプラスチックついても以下の対策を講じる:


・“European Chemicals Agency”の見解を考慮し、意図的に添加されたマイクロプラスチックを制限し、ペレット対策に取り組む。
・非意図的に放出されたマイクロプラスチックのラベリング、標準化および認証を開発し、マイクロプラスチックの捕捉量増加を含めた規制措置を策定する。
・非意図的に放出されたマイクロプラスチック、特にタイヤおよび繊維製品の測定法の開発、ハーモナイゼーションおよび海中におけるマイクロプラスチック濃度のハーモナイズされたデータの提供を促進する。
・環境、飲料水、食品中のマイクロプラスチックのリスクと発生に関する科学的見解の相違を埋める。

 

 さらに、欧州委員会は以下の政策の枠組みの策定を通じて、新たな持続可能性の課題に対処する:


・バイオ由来原料が、化石資源の使用量削減にとどまらず、真に環境に有益であるという評価に基づくバイオプラスチックの調達、ラベリングおよび使用。
・生分解または堆肥化が可能なプラスチックの使用が環境に有益であるという評価およびそのための基準の評価に基づいた使用。「生分解可能」および「堆肥化可能」のラベルが消費者の誤解を招き、分解に不適切な環境条件や不十分な期間によってプラスチックゴミや汚染を引き起こさないようにする。

 

 欧州委員会は、単一市場を守りながら海洋プラスチック汚染問題に対処するため、新たな“Directive on Single Use Plastic Products”および漁具に関連する指令を特に以下に関して適時導入する:


・指令の対象となる製品の解釈のハーモナイゼーション。
・タバコ、飲料カップおよびウエットティッシュなどの製品のラベリングならびにキャップと本体が繋がったゴミ防止用ボトルの導入。
・製品中のリサイクル材含有率を測定するルールの初導入。

 

【参考資料】
COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT, THE COUNCIL, THE EUROPEAN ECONOMIC AND SOCIAL COMMITTEE AND THE COMMITTEE OF THE REGIONS A new Circular Economy Action Plan For a cleaner and more competitive Europe

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