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アネロテック社のケミカルリサイクル技術について

 本稿では、2020年6月30日にニュースリリースされた、サントリーMONOZUKURIエキスパート株式会社がプラスチックのバリューチェーンを構成する他11社と共に設立した共同出資会社、株式会社アールプラスジャパンが共同開発を行う米国バイオ科学ベンチャー企業アネロテック社のケミカルリサイクル技術についてお伝えする。

アネロテック社について

 米国バイオ科学ベンチャーであるアネロテック社は2008年の創業で、2020年9月現在レートで約85億円相当の資金調達をこれまで行っており、国際的な化学企業・技術企業、仏国公的研究機関やサントリーグループと技術開発を行っている。価格競争力のある再生可能化学品および燃料を非可食バイオマスから生産することをミッションとしており、米国南部テキサス州のパイロットプラントにて実証中である。数か月に渡る試験を行い、商用レベルに耐えうる収率・安定性・一貫性・安全性が示されたとのことで、商用プラントのための準備を進めている。

アネロテック社のBio-TCat™技術について

 アネロテック社の中核技術であるBio-TCat™は、Thermal Catalytic Biomass Conversionを略した商標で、直訳すると熱触媒バイオマス変換となり、この名称から、油化技術における主な2つの手法である熱分解方式と触媒による接触分解方式の両方の性格を持っていることが示唆されている。

 一般的な油化技術では、①熱分解により炭化水素の混合物を生成②その炭化水素の混合物から必要な炭化水素を抽出する、という2段階のプロセスを経るが、Bio-TCat™では1つの触媒流動床反応炉の中で同様のプロセスを1度に行い、CO₂排出量・エネルギー必要量の抑制、および低コスト化による価格競争力を実現している。公開されている図1の処理プロセスフローによると反応プロセス(Bio-TCat™ Reactor)と精製・分離プロセス(Purification & Separation)は別になっているが、添えられている説明によれば上述のように単一のプロセスのようである。

 生産物は、BTX(ベンゼン・トルエン・キシレンの芳香族炭化水素)を90%以上含むナフサ同等物、中量・重量炭化水素混合物、一酸化炭素を多く含むガスである。

Bio-TCat™技術のプラスチックへの転用

 サントリーグループは、2012年からアネロテック社と植物由来原料100%使用ペットボトルの共同開発に取り組んでおり、この開発の中で、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術の開発可能性を見出すことができたと発表している。Bio-TCat™に投入する原料をバイオマスから廃プラスチックに変えることでBTXに加え、エチレンやプロピレンの再資源化が期待できるとのこと。2027年の実用化を目指している。

【引用元】

-使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社「株式会社アールプラスジャパン」設立(サントリーホームページ)

-アネロテック社ホームページ

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