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サーキュラーエコノミーモデル事例

サーキュラーエコノミーの実現に力を入れている欧州のなかでも、その先進国であるオランダからビジネス事例を紹介する。

フェアフォン(FAIRPHONE)


「フェアフォン」は2013年に設立されて以来、エシカルで環境に配慮したスマートフォンを作り続けている。フェアフォンのサーキュラリティはそのデザインにあり、バッテリーやカメラ、スクリーンなどのパーツがモジュール化されている。長く使用してもらうために、一部が破損した場合や、古くなった場合、ユーザー自ら簡単にパーツを交換・アップグレードすることができる仕様となっている。スマートフォンの平均的な保有期間は2.7年であるが、それを5年に延ばすことで二酸化炭素の排出量を30%以上も削減することができるという。

スマートフォンは年間14億台以上も販売されているのに対し、適正にリサイクルされているのは20%以下で、年々増え続ける電子ゴミの大きな要因ともなっている。2040年までには世界の温室効果ガス排出量の約14%をスマートフォンなどの情報通信技術が占めるという報告もある。

こうした問題の解決に取り組むフェアフォンは、長く使用してもらうためのデザインの工夫や、ソフトウェアの開発、古いスマートフォンを回収してモジュール毎のリサイクルを最適化しているのだ。このように環境に配慮した作りになっているため、最新のフェアフォンは469ユーロ(約5万8千円)と性能やデザインにくらべるとやや他のスマートフォンより高くなっている。

しかしフェアフォンの2019年インパクトレポートによると、2013年設立以来、22万台のスマートフォンを販売。2018年は約2.3万台を販売したのに対し、翌年には2倍以上の5.4万台を販売している。そして2020年には11万台を目指すという。環境や倫理意識の高いエシカルコンシューマーの支持を得て、小規模ではあるが着実に売り上げを伸ばし、資源の100%循環という目標へ向かっている。


スワップフィーツ(Swapfiets)


ヨーロッパで自転車をサービスとして提供するスワップフィーツは、自転車そのものを購入する代わりに月額制で自転車に乗れるという世界初のサービスだ。故障した場合は無償で、盗難にあった場合は40ユーロで他の自転車と取り換えが可能。定期的なメンテナンスの負担もないため、ユーザーにとっては気楽に自転車を利用することができる。

料金は都市によって異なるが、スタンダードモデルの自転車の場合、アムステルダムでは月額16.5ユーロ(1ユーロ120円として1980円)でレンタルできる。最初に15ユーロを支払い1か月ごとに更新していく契約と、最初の15ユーロなしで6か月契約がある(6か月の契約後は1か月ごとに更新)。また、企業やホテル向けのサービスも行っている。

日本での自転車に関する調査によると、廃棄・譲渡・紛失した自転車の使用期間は3年以下が約34%に上っており、まだ十分使用できるものや少しの修理で使用できるものを廃棄・譲渡・紛失した割合は約57%という統計が出ている。自転車を所有していなければ、乗らなくなったら契約を解除するだけで廃棄物の量を減らすことができる。

このサービスとしての製品(Product as a service/PaaS)モデルは、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルの一つとして知られるが、スワップフィーツは自転車をサービスとして提供し、結果的に循環型経済の一翼を担っている。2014年にサービスを開始して以来、20万人のユーザーに利用されており、今後さらなる発展が見込まれる。

【参考資料】
フェアフォンウェブサイト

-プレスリリース 

スワップフィーツウェブサイト