2020年3月に欧州委員会が発表した「新循環型経済行動計画」の概要を4回にわたって紹介する。第1回目は「背景」の概要を掲載する。
背景
今後40年でバイオマス、化石燃料、鉱物等の素材の消費量は世界的に倍増し、年間の廃棄物発生量は2050年までに70%増加すると試算されている。また、地球温暖化ガス総排出量の半分、生物多様性の消失や水ストレスの90%以上は、資源の採取と加工に起因するものである。
「欧州グリーンディール政策」では気候中立性、高い資源効率、競争力のある経済に向けた協働戦略が打ち出されている。2050年までに気候中立性を実現するため、EUの長期的な競争力を確保する一方で、サーキュラーエコノミーを経済の主流プレーヤーに引き上げ、経済成長を資源利用から切り離す(デカップリング)事を目指している。
事業においては、持続可能な製品の枠組み構築に向けて共同で取り組むことにより、新たな機会を創出することができる。新産業戦略であるサーキュラーエコノミーへの移行によって、EU経済は2030年までにEU域内のGDPをさらに0.5%押し上げ、70万の新たな雇用を創出すると予測されている。
サーキュラーエコノミーは、単一市場とデジタル技術に基づき、EUの産業基盤を強化し、中小企業の創業や起業家の育成を可能にする。一方で、市民には、高品質、機能的、安全な製品を提供する。製品は、効率的、安価、長寿命で、リユース・修理ならびに高品質のリサイクルが設計の段階において考慮される。
新循環型経済行動計画は、「欧州グリーンディール」が推し進める変革を加速させることを目的に採択された。持続可能な将来に向けて規制を合理化し、人々や事業への負担は最小限に抑えながら、移行に伴い生じる機会を最大限に活用する。持続可能な製品、サービス、事業の提供を日常化する製品政策の枠組みを構築し、廃棄物が生じないような消費パターンに移行するためのイニシアティブを提供する。
EUはグローバルレベルで引き続きサーキュラーエコノミーを先導し、影響力、専門性、資金力を活用して、2030 SDGsを実現していく。サーキュラーエコノミーが、人々・地域・都市に寄与し、気候中立性に貢献し、研究・発明・デジタル化の可能性を活用することを目指している。
【参考資料】
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