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CDP2024質問書 環境テーマ横断型質問と回答の振り返り

環境分野において最も著名なグローバル評価制度のひとつであるCDP2024年は回答書、回答システム、評価基準に大きな変更があり、対応に苦慮した企業も多いのではないかと推察する。本稿では、2024CDP質問書の環境テーマ横断型(モジュール1~6の一部)質問について、各モジュールにおける代表的な質問、評価向上のポイントについて振り返り、今後の展望について解説する。

目次

  1. CDP2024質問書の概要と特徴
  2. 各モジュール別の評価向上のポイント
    2-1. モジュール1:イントロダクション
    2-2. モジュール2:依存、影響、リスク、機会の特定、評価、管理
    2-3. モジュール3:リスクと機会の開示
    2-4. モジュール4:ガバナンス
    2-5. モジュール5:事業戦略
    2-6. モジュール6:連結アプローチ
  3. 今後の展望

 

1. CDP2024質問書の概要と特徴

2024年、CDP質問書は従来の気候変動、水セキュリティ、森林の3つの質問書から、環境テーマ横断型の統合質問書となった。この統合により、企業は複数の環境課題に対する取り組みをある程度一元的に報告できるようになったものの、より包括的な視点で環境情報を開示することが求められるようになった。この他、主に以下のような変化があった。

  • 従前の総合スコア「A」を獲得するための必須要件である「Aリスト基準」に加え、総合スコアC-Awarenessレベル)~A-Leadershipレベル)を獲得するために満たす必要のある必須要件「エッセンシャルクライテリア」が設定された ※CDP2024では、C-B-のエッセンシャルクライテリアは気候変動のみ設定
  • 国際基準であるIFRS S2(気候関連開示)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)との整合性を高めた質問が増加。その影響もあり、定量的なデータ開示要請に加え、詳細な説明を求められる設問も増加した
  • 記述内容に関わる評価基準が減少し、選択式回答とその評価基準が増加。求められる内容がより具体的になり、取り組みのレベルに応じて細かくスコアの差が付けられるようになった

 

2.各モジュール別の評価向上のポイント

各モジュールにおける代表的な質問と、評価向上のポイント、その他(情報開示規制・枠組み等との整合、エッセンシャルクライテリアの有無)を以下に示す。

2-1. モジュール1:イントロダクション
事業内容、報告バウンダリなどの企業情報を提供。本モジュールの情報は質問書全体を通じて適用される

 

2-2. モジュール2:依存、影響、リスク、機会の特定、評価、管理
リスク/機会の有無にかかわらず、環境課題を考慮する際の時間軸、重大な影響をどのように定義するか、依存、影響、リスク、機会を特定、評価、管理するプロセス(仕組み)、優先地域の特定に関する情報について開示

モジュール2の解説

 

2-3. モジュール3:リスクと機会の開示
報告年度/将来的に重大な影響を及ぼす(可能性のある)環境リスク/機会の有無、その影響(額)の詳細、対応戦略の開示とともにそれらの財務指標との関連性を開示

モジュール3の解説

 

2-4. モジュール4:ガバナンス
環境課題に対する取締役会レベルの監督、執行レベルの経営責任、方針、政策エンゲージメント等に関して開示

モジュール4の解説

 

2-5. モジュール5:事業戦略
シナリオ分析と移行計画を含めた環境課題の事業戦略への組み込み、バリューチェーンエンゲージメントについて開示

モジュール5の解説

 

2-6. モジュール6:連結アプローチ
本モジュールの情報は質問書全体を通じて適用

モジュール6の解説

CDP Guidance & questionnairesを参考にブライトイノベーションにて作成

 

3.今後の展望

CDP2025以降の質問書においては、引き続きTNFDESRS(欧州サステナビリティ報告基準)など、国際的な情報開示規制・枠組み等との整合性の強化が予定されている。また、CDP2024では気候変動のみに設定された詳細なエッセンシャルクライテリアについて、今後数年間で他の環境テーマも同様に設定すること、またネットゼロ目標の有無に関する要件も将来的に導入を検討することがCDPから発表されている。加えて、CDPは対象となる環境テーマを拡大することを打ち出しており、今後、廃棄物、海洋等に関する質問が設定されることも考えられる。

上記により、CDP2025において企業は現在の質問内容より更に高いレベルの回答が求められる可能性がある。同時に、外部機関がサステナビリティに関する組織の取り組みを評価する上でCDPは引き続き重要な指標となることも推察される。そのため、企業はCDP2024質問書および国際的な情報開示の基準を参照しながら、環境課題に対する自社の取り組み内容を早期に再検討し、CDP2025回答に向けて準備をすることが望ましい。

注:内容は弊社の予測であり、確定情報ではありません。

 

【参考資料】

CDP Guidance & questionnaires CDP2024年)

 

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