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再資源化事業等高度化法の認定制度活用のメリット

「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(通称:再資源化事業等高度化法、以下「高度化法」)」は、再生材の利用促進(質と量の確保)を目的に2024年5月に成立した法律である。本法律の概要については、それらを紹介するWeb記事が多く存在するため本記事では割愛し、企業にとって関心が高いと推察される「認定制度」に焦点を当て、概要、活用のメリット、他の認定制度との違い等を解説する。

目次

  1. 認定制度の概要
  2. 認定制度活用のメリット
  3. 他認定制度との違い
  4. まとめ

1.認定制度の概要

高度化法では、再資源化事業等の高度化を促進するため、国が一括して再資源化事業等の高度化に係る認定(3つの類型による認定計画の認定)を行い、廃棄物処理法の廃棄物処分業の許可等を不要とする特例制度が創設される予定である。同様の代表的な制度としては、広域認定制度やプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラ新法」)の自主回収・再資源化事業などが挙げられる。いずれも認定計画範囲における廃棄物処理法の業許可を不要とし、使用済み製品の回収・リサイクルをし易くする仕組みである。

上記の3つの類型の概要は下表のとおりである。なお、本法律の本格施行は2025年秋頃の予定であり、対象品目等の詳細情報について本稿執筆時点では未確定である点、留意されたい。
高度化法認定制度の概要

  • 廃棄物種類:全ての廃棄物(但し、腐食性等が想定されるようなものは対象にならない)。小型家電リサイクル、建設リサイクル法、自動車リサイクル法、容器包装リサイクル法等で対象となっている廃棄物と重複して認定申請することが可能(但し、「1. 高度再資源化事業計画」では家電リサイクル法4品目は対象外)
  • 廃棄物区分の対象:一般廃棄物(一廃)、産業廃棄物(産廃)の両方が対象(認定を受けた計画範囲であれば一廃・産廃の区別なく許可不要)
  • 高度化に関する判断基準:マテリアルリサイクルかケミカルリサイクルによる再資源化が認定の対象基準の前提として想定されている。サーマルリサイクルのうち、固形燃料化(RPF)は再資源化に含むものとし、廃棄物発電など直接熱回収を行うものは再資源化の定義に当てはまらない
  • 目標設定:認定申請会社は予め申請段階で再資源化目標等を設定し、毎年の報告義務が課せられる。一定比率以上の再資源化率等を担保しない限り、高度化と認定されない

認定基準の詳細は、環境省の「再資源化事業等の高度化に関する認定基準検討ワーキンググループ」にて議論が進んでおり、2025年夏頃には詳細が固まる見込みである。議論の詳細を知りたい方は、2025年2月時点の資料を参照されたい。

2.認定制度活用のメリット

企業が認定制度を活用するメリットとして、以下が考えられる。
①業許可不要(収集運搬業(類型1のみ)、処分業、廃棄物処理施設設置許可)により、廃棄物処理施設の迅速な立ち上げが可能になる
②再生材の需要家を含めてスキームを作って認定を取るため、サプライチェーンが固定されることで、リサイクラーにとっては顧客の囲い込みが可能になる
③国の方針と合致した事業として、認知向上(ブランディング)や社会的信用力の高まりが期待できる
④税制上の措置の優遇がある(固定資産税の課税標準価格が1/2になる、35%の特別償却が可能になる等)

3.他認定制度との違い

類似の認定制度との比較を下表に示す。
類似の認定制度との比較

高度化法の主な特徴は、以下のとおりである。

  • 認定主体:製品の製造・販売事業者等だけでなく、リサイクラーも認定主体になることができる。リサイクラー起点で認定スキームを構築できるという点で、リサイクラーにとって事業機会が広がる可能性がある
  • 許可不要:他認定制度では、業許可不要とはなるものの、廃棄物処理施設設置許可は不要とはならない。そのため、他認定制度では認定計画を取得したとしても廃棄物処理施設設置許可の対象に該当する施設の場合は、必ず許可が求められる。これを不要としたことで、新規の廃棄物処理施設の設置を容易とした点が、高度化法の大きな特徴の一つである
  • 回収対象:広域認定制度では原則として、自社販売製品のみが回収対象となり、他社販売製品は回収対象とならない。この点が、廃棄物の数量を回収するために課題となっていた。高度化法では自社/他社区別なく、使用済み製品を回収できるようになる見込みである

以上のことから、高度化法は国内でのサーキュラーエコノミー市場創出に向けた再生材の質と量の確保のため、広域認定制度、個別リサイクル法、プラ新法とも一味違う、間口の広い制度設計になっているといえる。

4.まとめ

高度化法では、施行から3年間で100件以上の認定件数が目標として掲げられている。動脈企業にとっては静脈ビジネスに参入するチャンスに、静脈企業にとっては事業拡大のスピードアップと動脈企業とのパートナーシップを構築・強化するチャンスになると考えられる。一方で、静脈企業にとっては裏を返せば、規制緩和で参入障壁が取り払われ、生き残りや効率化の競争が激化する可能性もある。この変化を機会と取るかリスクと取るか、サーキュラーエコノミーに対する企業の姿勢が問われている。

【参考資料】
再資源化事業等の高度化に関する認定基準検討ワーキンググループについて(環境省)
広域認定制度活用による製品の広域収集のススメ(ブライトイノベーション)
【プラスチック新法】動脈物流を活用した再資源化を可能にする自主回収・再資源化事業(ブライトイノベーション)

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