ここでは、最近話題となりつつある「座礁資産問題」と「カーボンバブル」について解説します。COP21で合意された「産業革命前からの気温上昇幅2℃未満」の目標達成のためには、今後排出できる温室効果ガス排出量は、565Gt-CO2~886Gt-CO2であることが示されています※1。一方、資源会社が保有する化石燃料を燃焼した場合、その3倍以上の2,860Gt-CO2となります。つまり、2,860Gt-CO2-886Gt-CO2=1,974Gt-CO2分の化石燃料(資源会社が保有する化石燃料資産の約2/3)は少なくとも使えなくなる可能性があります(座礁資産問題)。しかしながら、資源会社の資産価値は現状、保有する資産をベースに評価されています。今後、投資家による石炭関連事業(CO2排出量が多い事業)からの撤退、カーボンプライシングをはじめとした規制の強化・導入により、石炭関連事業をはじめとした企業の株価の大幅な下落が想定されます(カーボンバブル)。
※1: 国際エネルギー機関(IEA)とカーボントラッカーによるモデリングによる。参考までに、全世界の年間温室効果ガス排出量は約50Gt-CO2