アパレルは世界で2番目に環境汚染度が高い産業だと言われている。生産過程で大量の水資源を使う上、化学物質で海や河川を汚染する。繊維の生産はプラスチックや紙以上に二酸化炭素を排出し、世界全体の排出量の約10%がアパレル産業に関連する。衣類が新たな衣類へとリサイクルされる割合は1%にも満たず、大量廃棄が問題視されている。ファッションと環境問題には密接な関わりがあり、多くのアパレルメーカーがファッションのサステナビリティに取り組んでいる。
10月に衣類から衣類のリサイクルシステム「Looop」を導入したH&Mもその一企業である。Looopは世界初の「来店客に見える衣類のリサイクル工場」としてスウェーデン・ストックホルムの店舗内に設置され、「ループを閉じる(ゴミや有害物質を外へ出さない)」という同社のコミットメントを体現する。この見えるリサイクルは、どんな服にも資源としての価値があり、捨てるべき服はないことを訴えている。
Looopに不要になった衣類を投入すると、洗浄、細断、紡績等の8つの工程が自動で行われ、新たなアイテム(ニット、セーター、スカーフ等)へと生まれ変わる。細断により短くなった繊維の強度を保つため持続可能な方法で調達したバージン材もある程度使われるが、リサイクル工程では水や化学物質を使わず、一から作り出すよりも環境負荷の大幅な抑制が可能である。来店客は1回100~150クローナ(約1,200~1,800円)で持ち込んだ衣類のリサイクルが可能で、収益は素材の研究開発費に充てられる。
この技術はH&M財団が香港繊維アパレル研究開発センターおよびNovetex Textiles(香港の繊維メーカー)と共同開発したもので、将来的にアパレル業界全体に広くライセンス提供が行われる予定である。
【参考資料】
-H&M puts a new spin on old clothes thanks to Hong Kong tech
-@DIME 「世界で2番目の環境汚染産業」にも余波、ファッション業界がこぞってサステナブルに取り組み始めた理由
-エレン・マッカーサー財団 A NEW TEXTILES ECONOMY : REDESIGNING FASHION’S FUTURE
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