本稿では、プラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)の施行に伴いプラスチックごみの分別収集・リサイクルが交付要件となった循環型社会形成推進交付金について、その要件化の内容を解説する。
循環型社会形成推進交付金(3R交付金)における「プラごみの分別収集・リサイクル」の要件化
2022年のプラ新法施行に伴い、プラスチック使用製品廃棄物の分別収集・リサイクルが、循環型社会形成推進交付金(以下、3R交付金)の交付要件となった。3R交付金とは、市町村がごみ処理施設を整備する際に活用できる、環境省の交付金である。交付率は対象施設の整備に係る経費の1/2~1/3で、令和4年度の予算額は約500億円である。実際に多くの市町村が3R交付金を活用しており、市町村にとって重要な財源となっている。
3R交付金を受けるためには、①地域計画の承認、②交付金申請手続き(要望額調査への回答など)が必要となるが、今回、具体的には以下のような条件が交付要件となった。
- 要件:プラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び再商品化に必要な措置を行っている、又は地域計画期間の末日から1年後までに当該措置を行うこと。
- 対象施設:対象施設は下表のとおりである。プラスチック資源の分別収集に直接関連しない施設区分は、要件化の対象外となる。
対象 対象外 - マテリアルリサイクル推進施設
- エネルギー回収型廃棄物処理施設
- 高効率ごみ発電施設
- 廃棄物運搬中継施設
- 最終処分場
- 最終処分場再生事業
- 基幹的設備改良事業
- 対象施設に係る計画支援事業
- 有機性廃棄物リサイクル推進施設
- 基幹的設備改良事業(し尿処理施設に限る)
- 漂流・漂着ごみ処理施設
- コミュニティ・プラント
- 浄化槽設置整備事業
- 公共浄化槽等整備推進事業
- 対象除外区域のみが対象となる施設
- 対象外施設に係る計画支援事業
- 対象区域:地域計画の対象区域の全域(山村地域、過疎地域を除く)
-
プラ分別の範囲・程度:プラスチック製容器包装及びそれ以外のプラスチック使用製品廃棄物を対象としていること。※ペットボトルのみ、白色トレイのみ等一部のプラスチック使用製品廃棄物のみを対象とするものは不適合。
-
要件適用のタイミング・経過措置:プラ新法の施行日(2022年4月1日)から適用。ただし、施行日までに承認を受けた地域計画に基づく事業には経過措置を適用。
係る状況から、3R交付金を受けてごみ処理施設を整備したい市町村にとっては、プラ新法への対応が必須となっている。地域計画の計画期間は概ね5年以内と決まっているため、遅くとも法施行から5年後の2027年3月頃までにプラスチックごみの分別収集・リサイクルに取り組むことが求められる。
しかし、一般的に地域計画はごみ処理広域化を行う複数の市町村と共同で策定していることが多く、分別方法の変更や市民への周知といった準備期間を考えると、調整は容易ではない。2022年4月1日以降に地域計画を更新・策定する市町村で、更新時期が近い市町村ほど、プラ新法への対応方針の明確化が急務となっている。
【参考資料】
プラスチック使用製品廃棄物の分別収集の促進に係る検討報告書(茨城県、2022年3月)
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