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2022年07月28日 (木)
プラスチック
解説

プラスチック新法における排出事業者の取り組みポイント【2】排出事業者の実務

4月1日から施行されたプラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)では、①設計・製造、②販売・提供、③排出・回収・リサイクルの各ライフサイクルにおいて、プラスチックの資源循環を促進するための措置事項が定められている。今回は、③排出・回収・リサイクルのうち、排出事業者における取り組みについて、実務ベースで解説する。

 

排出事業者における実務項目

前回の記事では、排出事業者における活動内容の概要を手引きに基づき解説した。詳しくは、本サイト4月22日の記事「プラスチック新法における排出事業者の取り組みポイント【1】排出量算出・再資源化・公表」をご覧いただきたい。

実際に事業者の担当者が行うべき業務は多岐にわたるため、下記はあくまでも一例であるが、今回は実務へ落とし込んだ場合の取り組み内容について、下表のフェーズに沿って解説する。

 

表 排出事業者による実務の流れ

フェーズ実施項目
1 現状把握

①管理体制の確認

②各拠点(事業所)における実施状況の把握
2 方向性検討

③排出の抑制:抑制方法の検討

④再資源化:再資源化方法の見直し

⑤実現可能な目標値の検討

⑥管理および運用方法の検討
3 決定⑦組織方針の決定
4 実施

⑧情報公開

⑨委託先との連携

⑩実施状況および目標達成度の確認

 

フェーズ1 現状把握

推進する主担当部門は限定されないが、全社の方向性を打診しやすいサステナビリティ関連部門や、廃棄物管理の現状を理解している環境管理系の部門であればスムーズに進みやすく、大手企業であれば両部門が連携するのが望ましい。
廃棄物処理法における多量排出事業者に該当し、対策を行っている企業にとっては類似の活動となるが、対象範囲や算出方法など、細かい部分で内容が異なるため注意が必要である。

 

① 管理体制の確認
各拠点の廃棄物管理の現状を把握するため、まずは下記業務を担当する部門を特定し、それぞれの担当エリアおよび業務範囲を確認する。なお、プラ新法における管理体制は、廃棄物処理法やISO等における管理体制を踏襲してもよいため、併せて確認しておきたい。

・廃棄物処理法または各種リサイクル法の統括
・廃プラスチック(自社処理、委託処理:有価/産廃)の排出量、各種処理内容把握/管理、委託業者管理
・ISO14001等の取得範囲および管理体制

 

② 各拠点(事業所)における実施状況の把握
【排出量把握:事業者の単位】
事業場単位ではなく、法人格を有する事業者単位で排出量を計測する。下記のとおり、法人の種類により詳細が異なる。

・グループ会社:算出する単位は事業者ごとに排出量を記録する。グループ企業全体をまとめて合算する必要はない。
・フランチャイズ事業の事業者:基本的に本部事業者の排出量に含まれるが、以下のいずれかが含まれることが前提である。


ア 約款:廃プラ処理に関し、本部事業者が加盟者に対し指導・助言する、または両者が連携して取り組む
イ 約款以外の契約書Aにアの定めが記載された状態で、Aを加盟者が遵守する
ウ 本部事業者が定めた環境方針や行動規範にアが記載され、この内容を加盟者が遵守する

 

・建設業:建設工事の場合(数次請負など)、元請業者の排出量として算出する。
・地方公共団体:団体が保有する全ての拠点の排出量を合算する。ただし、各拠点の資産管理等を首長以外の者が行っている場合、地方公共団体とは独立した別事業者として捉え、独自に算出する。 

(例)
地方公営企業:水道、下水道、交通事業等を運営する組織
警察組織:都道府県警察
学校等:教育委員会
組合:特別地方公共団体として、特別区、地方公共団体の組合(一部事務組合や広域連合など)、財産区、地方開発事業団

 

【排出量把握:算出対象および算出方法】
対象となるのは有価物以外の産業廃棄物となるが、自社処理した廃棄物も含まれるため注意が必要である。詳しくは前回記事(ポイント①②)を参照されたい。ただし、後述の③排出の抑制、および⑤実現可能な目標値の検討内容次第では、有価物も含めた排出量を把握しておくことも検討されたい。
また、プラスチック産業廃棄物の中でも、下記の対象物に該当するものは除外される。

・特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)第2条、施行令第1条
・使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)第2条、施行令第1条

 

【廃棄物等の処理方法の確認】
排出量把握の際に、併せて処理方法も確認する。その際、外部に処理委託する以外に、排出事業者自身による処理や再資源化の方法も明確にする。

・自社が処理するもの:再資源化、熱回収、埋め立て、中間処理(焼却による減容・脱水・分別など)
・外部へ委託したもの:委託業者へマテリアルフローを確認
例:マテリアルリサイクル→残渣の8割をRPF(熱回収)化、残り2割を埋め立て

 

フェーズ2 方向性検討

取り組みの原則として、排出抑制・分別・再資源化実施の3パターンで検討を進めたのち、具体的な目標を設定(多量排出事業者のみ)する。
・排出の抑制:製造段階、および事業者における使用の2場面で排出されるプラスチックに対し取り組む。(実施項目③)
・分別:単一組成や清浄度に応じて分別することで有価物としてのリサイクル量増加につながり、産廃としての排出量削減および再資源化の促進が同時に可能となる。
・再資源化:現実的に行える範囲で、より高度なリサイクル手法を検討する。(実施項目④)

 

③ 排出の抑制:抑制方法の検討
事業者における使用では、販売・提供における使用の合理化に類似する取組みが推奨されている。
製造工程においては、工程変更・端材抑制/再利用・素材変更の検討が望まれる。特に、製造工程における排出抑制は歩留り向上にもつながるため、各工程における排出量も併せて把握できるようになるとメリットが増える。さらに、各工程で排出されるプラスチックの組成が統一できれば、有価物としての処理委託可能性が拡がるため、管理負荷とのバランスを考慮して検討されたい。

 

④ 再資源化:再資源化方法の見直し
前回記事にもあるとおり、再資源化の手段はマテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルが優先され、やむなく焼却する場合は、より熱回収効率の高い処理方法および委託先を選択することとなる。また、再資源化方法や適正処理に関して、これまでよりも詳細な情報が必要なため、委託業者への相談だけでなく、排出事業者による主体的な情報収集が必要になる。

 

⑤ 実現可能な目標値の検討(多量排出事業者のみ)
目標値設定の基準は特に設けられていないが、目標達成状況の報告をしなければならないため、現実的に取り組み可能な目標値の設定が推奨される。上記③排出抑制および④再資源化の検討で得られた情報を基に、フォーキャスト型で積み上げた達成可能な目標値を設定することが望ましい。
また、複数のテナントが入るビルの所有者の場合は、実際の運用に至るまでの調整が複雑になるため、ビル・テナント・委託業者と相互に連携して進めることが望ましい。

 

⑥ 管理および運用方法の検討
廃棄物処理法や各種リサイクル法、ISOといった従来の法規制や規格とは異なり、プラ新法は材料からのアプローチになるため、検討対象の部門や業務内容は多岐にわたる。しかし、部分最適になりがちな廃棄物管理の業務効率化を推進する良い機会と捉えたい。

・管理者設置:プラスチックは軽量のため、処理委託は地場業者が一般的であり、拠点の規模が大きい場合は下図のようなエリア毎の管理者設置が推奨されている。

図 管理体制の例

 

出所:環境省ウェブサイトを基にブライトイノベーションで作成

 

・教育訓練:既存の廃棄物管理方法とは異なり、排出抑制や再資源化促進のためには従業員の理解が重要であるため、セミナー開催やポスターなどの掲示を行うことが求められている。
・データ集計および委託先管理のためのシステム導入検討:現在、プラ新法に限らずサーキュラーエコノミーの機運が高まっており、CO₂排出量算出やトレーサビリティシステムの開発が進んでいる。これに伴い、排出量管理等の業務効率化システムが続々と開発されているため、この機会に導入を検討してみる余地はあると考えられる。
・役割分担:公開情報と実際の廃棄物管理の担当部門は異なることが多く、実施状況または目標達成状況の情報公開に向けた、実施と情報集計の部門分担は予め定めた方がよい。

 

フェーズ3 決定

⑦ 組織方針の決定
多量排出事業者であれば、事業者として目標および目標への到達状況を公開する必要があるため、情報公開の媒体に応じて決裁が必要になる。
多量排出事業者以外の一般的な排出事業者は、事業者としての取組方針を打ち出す義務はないが、CSR対策など対外的なアピール材料にもなり得るため、積極的に検討されたい。

 

フェーズ4 実施

実施の段階では、⑦で決定された方針・施策を実施する以外に、下記に注意したい。

⑧ 情報公開
一般的な排出事業者と多量排出事業者では公開する情報が異なることは前回記事(ポイント④)のとおりである。

 

⑨ 委託先との連携
廃棄物は均質材料ではないため、再資源化をスムーズに進めるには、初回契約が終わった後も委託業者と継続的に情報共有していく必要がある。排出元は廃棄物の情報(契約条件の項目だけでなく、分別状況・発生元・材質など)を必要に応じて委託先に開示した方が望ましく、特に産廃量削減のために分別を徹底した場合、分別したものの材質が時期とともに変化していく可能性もあるため(例:原料梱包材の規格の変更など)、廃棄物の内容の確認および情報開示は逐一行いたい。

 

⑩ 実施状況および目標達成度の確認
次回の情報公開に向け、実施状況の確認、および多量排出事業者の場合は目標達成状況の確認も行う。⑥でも挙げているが、多量排出事業者や多拠点を有する企業の場合は、業務効率化のためにも積極的にデータ集計システムの導入を検討されたい。

 

【参考資料】

「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』の普及啓発ページ」環境省

排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き

 

関連記事はこちら:

プラスチック新法における排出事業者の取り組みポイント【1】排出量算出・再資源化・公表

プラスチック新法における排出事業者の取り組みポイント【3】再資源化事業計画

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