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2021年12月27日 (月)
ケミカルリサイクル
解説

英Mura Technologyの廃プラケミカルリサイクルシステム

本稿では、英国のMura Technology Ltd.が手掛ける廃プラのケミカルリサイクルシステムHydroPRSTMについてご紹介する。

 

Mura Technology社について

Mura Technology社は、オーストラリアのベンチャーであるLicella社の超臨界水熱反応技術Cat-HTRTM(Catalitic Hydrothermal Reactor)を基に、廃プラスチックのケミカルリサイクルプロセスの開発および同プロセスによる生成物(油・ガス)の製造販売を行っている。
革新的かつ高度リサイクルが可能なシステムとして注目を集め、米国のDow Inc.やエンジニアリング大手のKBR, Inc.、ドイツの工業用プラスチックメーカーIgus GmbHといった世界的企業が提携・出資を行っている。

 

Mura Technology社のHydroPRSTMについて

HydroPRSTMの基幹技術は、Licella社から特許使用権を取得し構築されたものである。

処理フローは、①廃プラ洗浄・破砕→②溶融・加圧→③蒸気混合→④加熱→⑤Cat-HTRTM(のちに詳述)→⑥減圧→⑦製品分離→⑧貯蔵で、超臨界反応をベースに、前処理として廃プラスチックの洗浄・破砕工程が入り、プラスチック種別ごとの分別の必要はない。

プロセスの詳細はLicella社のCat-HTRTMシステムに準ずるとみられ、設備や稼働の具体的なイメージについては、後述のLicella社資料にて参照することができる。

 

本技術の対象となる原料は、PP、LDPE、HDPE、PP、PET、PSなどで、超臨界反応による解重合プロセスを経ることにより、広範囲の使用済みプラスチックが処理が可能となる。過熱によるクラッキングを防ぎつつ、スケーラブルな急速加熱により、原料プラスチックを85wt%以上の炭化水素製品に効率良く変換できるとされる。製品としては、ナフサ・軽質油・重質油・ワックスの4種類が製造される。

 

HydroPRSTMシステムの商業化は、英国のReNewELP社が英国Teessideにおいて8万t/年(2万t/年×4系列)規模の施設を建設中であり、2022年から順次稼働予定となっている。また、日本国内では三菱ケミカル社がライセンス契約を締結し、ENEOS社と共同でプラスチック油化事業を開始しており、茨城県鹿島地区において2万t/年規模の設備を建設し、2023年度より廃プラスチックの油化を開始する予定である。

 

Licella社のCat-HTRTMシステムについて

超臨界反応技術であるCat-HTRTMは、元は有機性廃棄物を油化・燃料利用するための技術であり、Licella社が10年に渡り開発してきた。
本技術による基本的な処理フローは前述のMura Technology社と同様で、設備や稼働イメージの詳細についてはLicella社のウェブサイトに掲載の動画(https://www.licella.com/technology/cat-htr/)を参照いただきたいが、主な流れは以下のとおりである。


①原料の前処理:破砕して微粒化する。粒径は不明だが、上記動画で確認する限り相当レベルまで粉砕されており、金属片等、破砕に影響する異物はあらかじめ除去する工程が必要となる。
②溶融・加圧:次工程③で高温高圧化するための段階的処置とみられる。
③スラリー化:超臨界水熱反応のため、前処理の一環として原料プラスチックに水を加えスラリー化するのが特徴。スラリー化しつつ、次工程④のためにさらに段階的に高温高圧化する。
④反応塔:スラリー状原料を反応塔に連続投入し、約20分間反応させる。
⑤減圧
⑥分離:85wt%を占める4種の炭化水素製品と、残り15%のガスがそれぞれ分離される。ガスは③のスラリー化工程に戻され、再利用される。
⑦製品貯蔵:各種炭化水素製品が貯蔵される。

 

【参考資料】
Mura Technology社ホームページ
ReNewELP社ホームページ
Licella社ホームページ
DOW社ニュースリリース
ENEOS社/三菱ケミカル社ニュースリリース

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