Carbon &
Circular Portal

カーボン&サーキュラーポータル

CARBON &
CIRCULAR
PORTAL

カーボン&サーキュラーポータル

中国の「五カ年計画」から見た中国のカーボンニュートラルと サーキュラーエコノミーの取り組み【後編】

【前編】はこちら:中国の「五カ年計画」から見た中国のカーボンニュートラルと サーキュラーエコノミーの取り組み【前編】

2021年7月1日、中国の国家発展改革委員会は、国務院の同意を得て、「第14次五カ年循環経済発展計画」を発表し、後日、国家発展改革委員会の担当者が本計画について記者の質問に答えた。

下記はその代表的な質問と回答である。

問:どのようにサーキュラーエコノミーの発展に力を入れ、カーボンニュートラルの目標を実現させるのか?

答: サーキュラーエコノミーは資源の効率的な利用やリサイクルを中心に、3Rを原則として、低消費、低排出、高効率を基本的な方針とする。サーキュラーエコノミーを大きく発展させるため、製品の製造と加工のステップを簡略化するとともに、資材と製品のライフサイクルを延長し、また、製品の炭素隔離能力の向上、原材料の採掘や一次加工のプロセスの削減、製品の適切な廃棄処理と再生産により、エネルギー消費とCO₂の排出を減少させる。

例として、1トンの鉄鋼を生産する際、鉄スクラップを利用して製鋼する場合、鉄鉱石を原料とした時より約1.6トンのCO₂を削減することができる。中国における2020年の鉄スクラップの利用量は約2.6億トンであり、これによりCO₂の排出量を約4.16億トン削減することができた。(参考 中国における年間CO₂排出量:約95億トン(2018年実績))

問:どのような目標が掲げられているのか?

答:定性と定量、両方の目標を掲げている。

定性的目標では、2025年までにサーキュラーエコノミー型産業体系の基本を確立し、全社会をカバーするサーキュラーエコノミー利用体系の基本的な構造を構築する。それにより、資源利用効率を大幅に向上させ、再生資源のバージン原料の代替比率をさらに高めることで、資源の安全保障を高める効果をより明確にしようとしている。

定量的目標では、資源利用レベルと再生資源の利用状況に対して具体的な目標を定めている。例えば、単位GDP当たりのエネルギー消費量、単位GDP当たりの資源使用量、農作物残茎の総合利用率、大口固形廃棄物¹総合利用率、主要資源²の生産性、及び紙くず、鉄スクラップ、非鉄金属スクラップの利用量が挙げられる。

問:「計画」はどのような行動計画を掲げているのか?

答:資源の全体的な利用効率を高めることを第一目標として、工業社会生活農業の3つの分野をめぐって、サーキュラーエコノミー発展の行動計画を示している。

工業分野では、製品のグリーン設計を推進。業種ごとのクリーン生産を強化し、工業団地の循環化の発展を推進する。また、資源の総合的な循環利用を強化し、都市廃棄物の協同処理を推進する。これらを通じてカーボンニュートラル型産業体系を構築し、資源の利用効率を向上させる。

社会生活分野では、廃棄物回収ネットワークを完備させ、再生資源の加工レベルを向上させる。また、中古商品マーケットの発展を規範化させ、再製造産業の高品質化の発展を促進し、廃棄物循環利用システムを構築することで、資源循環型社会の構築を加速する。

農業分野では、農林水産廃棄物の再資源化を強化するため、農業用物資の廃棄物の回収・利用を強化する。循環型農業発展モデルを推進し、農業におけるサーキュラーエコノミーのモデルを構築し、循環型農業生産方式を確立する。

問:どのような重点プロジェクトと行動が展開されているのか?

答:サーキュラーエコノミーにおける重点課題に焦点を合わせ、具体的な措置として、下記5つの重点プロジェクトと6つの重点行動を定めている。

5つの重点プロジェクト:
① 都市廃棄物リサイクル体系の整備
② 工業団地の循環化の発展
③ 大口固形廃棄物の総合利用モデル
④ 建築ごみのリサイクルモデル
⑤ サーキュラーエコノミーの技術と設備の革新

6つの重点行動:
① 再製造産業の高品質化
② 廃棄電気電子製品の回収・利用
③ 自動車の全ライフサイクルの管理
④ 全プラスチック汚染チェーンにおける各拠点の管理
⑤ 宅配便包装のグリーンモデルチェンジ
⑥ 廃リチウムイオン電池のリサイクル利用

問:「計画」の実施を推進するために、次のステップをどのように考えているか?

答:サーキュラーエコノミーを発展させることは、広範囲にわたる総合システムである。次のステップとして、国家発展改革委員会はサーキュラーエコノミー工作部間連合会議の役割を十分に発揮し、指導を強化し、部門と地方責任を果たすことで、新たな、より大きな成果を収めたい。

※1 大口固形廃棄物:

ぼた(石炭採掘時に発生する黒色炭質頁岩)、フライアッシュ(石炭を燃焼する際に生じる灰)、尾鉱、製錬スラグ、工業副産物の石膏、建築ゴミ、農作物のわら。

※2 主要資源:

石炭、石油、天然ガス、鉄鉱石、銅鉱、ボーキサイト、鉛亜鉛鉱、ニッケル、石灰石、黄鉄鉱、リン酸塩鉱物、木材、工業用食糧(小麦粉、コーンなど)の13種類の物質資源。

 


【参考資料】

「国家发展改革委有关负责同志就 《“十四五”循环经济发展规划》答记者问」 澎湃新闻 政务:国家发展改革委(2021年11月1日)

「データで見る温室効果ガス排出量」 全国地球温暖化防止活動推進センター(2021年11月1日)

「关于“十四五”大宗固体废弃物综合利用的指导意见」 中华人民共和国生态环境部(2021年11月2日)

「什么是资源产出率?」百度文库(2021年11月2日)