ISSB/SSBJ/TCFD提言公表の背景
企業の気候変動問題への対応の巧拙が事業や財務に大きな影響を及ぼす社会となり、企業の気候変動対応を含むサステナビリティ対応に対する、投資家を含むステークホルダーからの関心が急速に高まっています。これら投資家等は、企業を評価する際、開示情報を重要な情報源として活用します。そのため、投資家等が的確な投資判断を行うためには、企業の気候変動対応に関する情報がタイムリーかつ適切に開示されることが必要であり、情報開示の枠組みの適切性と標準化は非常に重要となります。このような背景から、G20財務大臣及び中央銀行総裁の要請を受けて、FSB(金融安定理事会)がTCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures,気候関連財務情報開示タスクフォース)を2015年12月に設立しました。TCFDは、企業の気候変動対応に関する情報開示の枠組みの策定を目的として設立されたものであり、設立から約1年半後の2017年6月、投資家が企業の気候関連リスク・機会を適切に把握し、適切な投資判断が行えるようにするための、企業の気候関連課題(リスク・機会)への対応に関する情報開示フレームワーク(TCFD提言)を公表しました。
2023年10月、気候関連開示の基準がTCFDからISSB(International Sustainability Standards Board, 国際サステナビリティ基準審議会)に移行することに伴い、ISSBは開示項目を引き継ぐ形での新たな開示基準(S1およびS2)を公表しました。
これを受け、日本でのサステナビリティ開示基準を策定するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan, サステナビリティ基準委員会)は、日本版S1およびS2基準の策定を進めており、公開草案を2024年に公表し、その後、意見募集等を経て2025年3月には確定基準を公表する予定としています。そして、将来的には有価証券報告書でのSSBJ基準に基づいた開示の義務化が検討されていることから、当基準に基づく情報開示への対応の必要性が高まることが想定されます。
ISSB/SSBJ/TCFD提言の概要
ISSB/SSBJ/TCFD提言は、最終報告書、補助ガイダンス、および個別ガイダンスで構成され、計数百ページ程度の内容になっています。一見、膨大な量に思えますが、要点としては下記4つの事項の開示を推奨するものであり、特に複雑な内容ではなく整理されたものとなっています。
上記の内、特に「戦略」部分で求められている「気候シナリオ分析」がISSB/SSBJ/TCFD提言対応の要の1つになります。気候シナリオ分析は、複数の社会シナリオを設定し、そのシナリオ下でどのような気候関連リスク・機会があり、その程度の事業・財務インパクトがあるのかを分析するとともに、それらへの対応策は十分か、今後必要な追加的な対応策は何かなどを検討するものとなります。
ISSB/SSBJ/TCFD提言に関連する動向概説
TCFD提言の公表後、大手資産運用機関等によるTCFD提言に基づく開示要請、TCFD提言等に沿った情報開示の義務化の動き、さらにはCDP等のESG評価制度のスコアへの影響など、企業活動に対するTCFD提言の影響力が急速に高まっています。日本においても、コーポレートガバナンス・コードで、プライム上場企業約1,600社にTCFD提言に沿った開示を推奨していることや、有価証券報告書での開示の義務化など、大きな影響を及ぼしています。プライム上場企業のみならず、上場企業約4,000社を対象に当該情報の開示を求める動きも進められつつあります。
以上をふまえ、ISSB/SSBJ/TCFD提言対応は、特に上場企業にとって経営上の重要事項の1つとなっています。
TCFD提言、IFRSサステナビリティ開示基準(ISSB基準)、およびSSBJ基準に沿ったサステナビリティ情報開示と体制構築を支援します。各種基準の詳細解説や、開示基準とのギャップ分析、シナリオ分析、開示情報の作成支援まで、クライアントのニーズ、取組状況、および事業特性に応じた支援を実施します。各種基準への形式的な対応ではなく、事業リスク低減・事業機会の実現等、事業メリットを考慮したコンサルティングサービスを提供します。
ISSB/SSBJ/TCFD提言対応は年々改善が必要であり、そのための基盤となるScope1,2,3排出削減プランニング、移行計画の策定・改善、Scope1,2,3排出量の算定・精緻化等、個別のコンサルティング実績も豊富にあり、各社様のニーズに応じた具体的なコンサルティングサービスの提供が可能です。
ISSB/SSBJ/TCFD提言対応コンサルティングの流れ
基準の説明
・基準の内容に関する説明
・開示戦略に係る意見交換
ギャップ分析支援
・現状と開示基準とのギャップを分析・結果の説明
・結果に基づいた未開示項目等に関する開示イメージの提供
シナリオ分析支援
シナリオ分析の概観の解説、他社開示事例の解説
・シナリオ分析の実施プロセスの解説
・他社実施事例の解説
・シナリオ分析の基礎情報(例:タイムスケール、参照シナリオ)の設定支援
重要な気候関連リスク・機会の整理
・気候関連政策・規制、社会情勢に係る解説(気候関連の社会的潮流、
パラメータを整理した資料を解説)
・貴社に関連のある気候関連リスク・機会の整理に係る支援
・特に重要性の高いリスク・機会の検討・評価の支援
気候シナリオ設定支援
・分析タイムスケール(例:2030年、2050年)の確認
・Step.2-3の情報等をふまえ、既存のシナリオ
(例:IEA-NZE2050、IEA-SDS、IPCC-RCP2.6…)のうち、
貴社に関連性の深いシナリオの特定を支援
・既存シナリオに係る弊社解説資料の提供・解説(IEA, IPCC等の各関連シナリオ)
・気候関連リスク・機会に関連するパラメータの検討・設定に係る支援
・設定したパラメータに係る将来情報の提供・調査支援
・気候シナリオの設定支援
財務・事業インパクト評価支援
・Step2で特定した重要なリスク・機会の適切性のレビュー
・Step3で設定した各シナリオと、Step2及びStep3で特定・設定した
貴社のリスク・機会と関連パラメータをふまえ、各シナリオにおける
財務・事業影響の定量化、検討・整理を支援
気候関連リスク・機会に関する今後の対応策の検討
・気候関連リスク低減及び機会促進・実現のための中長期的な対応の方向性・
方針・戦略に係る助言
シナリオ分析結果の取りまとめに係る支援
・シナリオ分析結果の文書化に係る支援
開示情報作成支援
・未開示項目等の対応方針関する意見交換
・開示案作成に対する助言
・クライアント様作成内容のレビュー・赤入れ
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