イギリスの金属スクラップリサイクル企業European Metal Recycling(以下EMR社)は2040年ネットゼロ(事業活動における温室効果ガス排出量を正味ゼロにする)を宣言し、2030年を見据えたサステナビリティ戦略を公表した。
2030年までにScope2(購入した電力・蒸気の使用に伴う間接排出量)をネットゼロにし、2040年までにScope1(燃料使用に伴う直接排出量)およびScope3(サプライチェーン排出量)ネットゼロを目指す。
気候変動という複雑な課題への対応にあたり、シンプルに策定されたThe Climate Group※1の枠組みを採用した。EMR社はプラスチック・金属のリサイクル業界では初めてThe Climate Groupの3つの主要イニシアチブ(RE100、EV100、EP100)に加盟し、ネットゼロを宣言した企業となる。
EMR社はあらゆる廃棄物から年間約1000万トンの金属やプラスチックをリサイクルし、約1000万トンのCO2の削減に貢献している。再生材を使用したものづくりは、バージン材から作る場合と比較してエネルギーや水の消費量が50~90%少なく、環境への影響は非常に大きなものとなる。そのような持続可能な素材をCO2を排出せずに作るべく、新たな技術や働き方を模索し、事業を通して環境負荷の少ない素材を作り出す。
今、欧州を中心に「グリーンリカバリー※2」という考え方が広まっている。グループCEOのクリス・シェパード氏も、持続可能な人や事業への取り組みと同時に環境パフォーマンスの改善が不可欠であり、脱炭素化への取り組みは、世界的な気候目標の達成と同時に、雇用創出と投資を促し新型コロナウイルスによって停滞した世界経済からのグリーン・リカバリーを推進する上で重要であるとの考えだ。
既にEMR社は、イギリスでのエネルギー使用量の80%を再生可能エネルギーに切替ており、さらに導入を加速させていく予定である。
※1 企業や政府とのネットワークを構築し、気候変動対策を加速させ温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す国際NGO。
※2 新型コロナウイルス感染拡大から単に経済政策を優先した復興を図るのではなく、気候変動への対応や生物多様性の保全等と並行して持続可能な社会へ移行していくという考え方。
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