サーキュラー・エコノミーへの移行を実現する上で、「環境と成長の好循環」を確立するためには企業と投資家の果たす役割が重要である。双方がそれを認識し、適切な情報発信、対話・エンゲージメントを通じて価値の協創に取り組む環境を整備する目的で、経済産業省の研究会である「サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会」が2020年5月より立ち上がり、ファイナンスガイダンスの策定準備が進んでいる。同年8月に第4回が開催され、大枠が固まりつつあるのでその概要を紹介する。
本ガイダンスは2017年5月に経済産業省が公開した「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス – ESG・非財務情報と無形資産投資 -(価値協創ガイダンス)」の枠組みを基礎としており、サーキュラー・エコノミー分野に特化した各論として位置づけられる。同時に、その構成はTCFDガイダンスなど国内外で広く認知・活用されている枠組みを参考にしている。
本ガイダンスは、企業がサーキュラー・エコノミーに係る取組を価値創造ストーリーとして、経営理念などの価値観・ビジネスモデル・戦略・リスク機会分析・ガバナンスなどを統合的に投資家に伝える手引きとなることが目的で、具体的には統合報告書などでの情報発信や情報整理の基礎的な枠組みとなることが期待されている。投資家にとってはスチュワードシップ活動や投資先・関連機関との対話に活用されることが期待されている。
本ガイダンスは以下の6つの項目で構成される予定である:
1. 価値観
2. ビジネスモデル
3. リスクと機会
4. 戦略
5. 指標と目標
6. ガバナンス
プラスチック資源循環分野に関しては、国際的にサーキュラー・エコノミーの中でも重要な分野として関心が高まっているため、この分野に特有のポイントが本ガイダンス中で紹介される予定になっている。
本ガイダンスの進捗を追って報告していく。
【参考資料】
サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会
企業と投資家の対話のための「価値協創ガイダンス」(価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス-ESG・非財務情報と無形資産投資-)