ISCC PLUS 認証とは
ISCC(International Sustainability and Carbon Certification)は、ドイツに拠点を置く持続可能性および炭素に関する国際認証協会である。ISCC EUがEU域内のバイオ燃料を対象としているのに対して、ISCC PLUSはEU域外を含む全世界のバイオマス原料・製品やリサイクル原料・製品を対象とし、これらが持続可能であることをサプライチェーン上で管理・担保する第三者認証制度である。
ISCC PLUSでは、GHG排出量の検証は任意であり、アドオンを適用することで追加することができる。GHG排出量の検証アドオンを追加した場合、サステナビリティ宣言書(SD)にGHG排出削減量の情報が記載され、より詳細な環境貢献の定量的な可視化が可能となる。
ISCC PLUS 認証の対象となる素材
ISCC PLUSではサーキュラーエコノミーとバイオエコノミーに貢献するあらゆる種類の農林業原料、バイオ廃棄物/残留物、再生可能原料、化石由来の廃棄物・残渣を認証することができる。
原材料カテゴリ
| カテゴリ | 内訳 |
|---|---|
| バイオ原料 | 農業、林業、漁業・養殖業を含む関連産業からの未使用バイオマスに由来する原料 (例:トウモロコシ、サトウキビ、ナタネ等の生分解性画分等) |
| バイオサーキュラー原料 | 農業、林業、漁業・養殖業を含む関連産業からの生物学的起源の廃棄物と残渣、および産業廃棄物と都市廃棄物の生分解性画分に由来する原料 (例:UCO※1、トール油※2、食品廃棄物等) |
| サーキュラー原料 | 非生物学的起源(化石由来)のリサイクル可能な材料の機械的および/または科学的処理に由来する原料(技術系サーキュラー原料を含む) ・有機(化石由来)材料(例:混合プラスチック廃棄物、廃繊維、使用済みタイヤなど) ・無機材料(例:金属、無機酸、鉱物、金属塩等) |
| 再生可能原料 | バイオマス以外の再生可能エネルギー源(例:風力、太陽光、空気熱、地熱、水力等の再生可能エネルギーから生成された電力等)を使用して得られた非生物学的起源の原料 (例:グリーン水素、合成燃料等) |
*1 Used Cooking Oil。廃棄された食用油のこと。
*2 パルプを製造する際に、パルプ原料を蒸解し、繊維を分別する時に副産物として生成される、脂肪酸・樹脂酸・不けん化物等の混合物。
トレーサビリティの仕組み
ISCC PLUSは以下の拠点の認証と、原材料の認証の2つの方法を組み合わせたチェーン・オブ・カストディー(CoC, Chain of Custodyの略。証拠保管の継続性のこと)でトレーサビリティを担保する。
①拠点の認証
ISCC PLUSの取得を志向する企業は、拠点単位(法人単位ではない)でISCC認証機関(CB, Certification Bodyの略)による審査に合格することが必要になる。認証取得にあたっては、ISCCが提供するオンラインプラットフォーム「ISCC HUB」への登録が必須となっており、企業情報や認証情報を登録・管理する。認証の有効期間は1年間で、更新するためにはCBによる審査を改めて受ける必要がある。サプライチェーン上の各企業は、原材料を受け取る際に、サプライヤーの認証番号に加えて認証の有効期限を確認し、発送日の時点で有効であることを確認しなければならない。監査の手続きや基準はISCCウェブサイトから確認することができる。
②原材料の認証
リサイクル原材料を使用して作られた製品は、その原材料がどこで発生した廃棄物であり、発生後にどのようなルートで回収、加工、運搬、再製品化されたかが把握可能でなければならない。ISCC PLUSはCoCに基づき、①の認証取得拠点間での原材料の取引ごとに「サステナビリティ宣言書(SD, Sustainability Declarationの略)」と呼ばれる伝票管理をすることで、モノの動きと情報をセットで管理する。SDは原材料の詳細に関する書類であり、納品ごとに必要になる。
サステナビリティ宣言書(SD)の主な内容
【一般情報】
- サプライヤー名および所在地
- 送付先の氏名および所在地
- 関連する契約番号
- 持続可能な原材料の発送日
- 持続可能な原材料の発送地点の所在地
- サプライヤーの認証番号
- サステナビリティ宣言の発行日
- グループメンバーの番号(グループ認証の場合)
- サステナビリティ宣言の固有の番号
- ステートメント「ISCC準拠」
【製品関連情報】
必須情報:製品の種類(例:原料、原油等)
- 原材料カテゴリ(バイオ原料、バイオサーキュラー原料、サーキュラー原料、再生可能原料のいずれか)
- 配送される持続可能な原材料の数量(トン、キログラム、リットル等)
- サーキュラー原料の場合:-ステートメント「原材料は廃棄物または残留物の定義を満たしています」
-ポストコンシューマ/プレコンシューマ/混合 - バイオ原料の場合:-ステートメント「原材料は、ISCCシステム文書202「サステナビリティ要件」に規定されたISCC 要件に従いサステナビリティ基準に準拠しています」(www.iscc-system.orgを参照)
- 適用されるCoCオプション(原材料管理)の情報:「セグリゲーション」「マスバランス」「制御されたブレンディング」
- マスバランスの種類(オプション)
- マルチサイトクレジット転送(同一企業が複数の認証取得拠点を持つ場合、ある拠点のマスバランスクレジット(認証材料の帳簿上の量)を別の拠点に転送できる仕組み)が適用された場合
原材料の認証では、由来だけでなく、どのようにリサイクルされ、サプライチェーン上でどのように管理されるかも重要となる。以下、ISCCが示すリサイクル手法と管理方式の考え方を整理する。
リサイクル手法
ISCCでは、メカニカルリサイクルとケミカルリサイクルは熱回収よりも有利と位置づけられている。また、総エネルギー消費量、有害なプロセス排出量の最小化、労働者の社会的および健康的保護、および不均衡なコストの回避を考慮すると、プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルと比較してメカニカルリサイクルを優先する必要があると述べている。
マスバランス方式(CoCオプション)
マスバランス方式とは、原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:廃棄物由来原料)とそうでない原料(バージン原料)を混合させる場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対し、その特性の割り当てを行う手法のことである。一般的に紙(FSC認証)、パーム油(RSPO認証)、電力(グリーン電力証書)などで適用されている手法である。ISCC PLUSではマスバランスは拠点ごとに計算される必要があり、計算期間は最長で3ヶ月である。
日本での普及状況
ISCC PLUSの2026年2月時点の全世界での有効認証数(Valid Certificate)は6,368件であり、うち496件が日本企業(拠点単位)の認証である。2022年11月時点では85件だった日本企業の認証取得数が、わずか3年強で約5.8倍に増加したということになる。ISCCウェブサイトにて、認証取得企業のリストや証書、監査レポートなどを閲覧できる。
拠点の種類
ISCC PLUSの分類に基づく日本の認証取得拠点の種類別構成比は下図のとおりである。Processing Unit(加工・処理施設)が47%、Trader with storage(倉庫付き商社)とTrader(商社)が全体の37%を占める。次いでFinal Product Refinement(最終製品加工)が6%、Warehouse(物流倉庫)が5%、Collecting Point(収集拠点)が3%、Point of Origin(原産地)が2%と続いている。

参考資料
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