コンサルティングサービスを受けるまでの経緯
支援前に抱えていた課題
TCFDに関して、元々当社は2022年6月の初版発行以降、内容の検討から公開、英訳までを自社で完結して行っていたのですが、限られたリソースで内容の検討から開示まで一貫して行う事に、課題や限界を感じる事がありました。
一番大きな点は、日本において2027年3月期から段階的に義務化され、2028年3月期より当社も開示する事となる『SSBJ基準』への対応を見据えた時に、我々のTCFD開示の内容でその開示要件に今後しっかりと整合させる事ができるのか、現行の内容ではその基準を満たしていないのではないか、と強く感じていたことです。それに付随するのですが、他社の開示内容と比較した場合、見劣りする部分がどうしても出てきてしまっているという内部での感覚がありました。それらを総合し、また業務負担の低減の観点でもどうすれば作業プロセス・開示内容のブラッシュアップができるかということを常々考えていました。
当社を知ったきっかけ
ブライトイノベーションさん主催のセミナーに参加したことが最初のきっかけだったと前任より聞いています。ブライトイノベーションさんはCDPのスコアリングパートナー(※)であるということをその時にお伺いしました。当時はCDPに特化したコンサルティング会社ではなく、一般的なコンサルティング会社を起用していましたが、ブライトイノベーションさんのお話を伺い、2018年よりCDP回答支援のコンサルティングをお願いしました。その後、CDPの回答支援を通じて、TCFD開示支援のコンサルティングもご依頼するに至りました。
※スコアリングパートナー制度は2024年に廃止され、現在はCDP認定ソリューションプロバイダーとなっています
支援先を決定した理由
当社がCDPでご支援いただいていた内容がCDP回答において大きな改善・ブラッシュアップに繋がっていたというのが一番の大きな理由かなと思います。また、当社の脱炭素の取り組みに関しても深いご理解をいただいていたということを感覚として持っています。CDPの評価向上支援を通じて、すでにサービスのご提供品質が分かっており、当社への理解も持っていらっしゃるという両面から、ブライトイノベーションさんを選定した次第です。

コンサルティングサービスを受けた感想
当社が支援した内容
TCFD開示情報内容のブラッシュアップと英訳の依頼をしました。そこでは、本来網羅すべき内容における、本当に全ての点でブラッシュアップしていただきました。開示内容の詳細を見てもらう事はもちろん、そもそもTCFD開示でどのような情報を開示すべきなのかという本質的な部分や、対応すべきこと、今後対応した方が良いことの整理も支援していただきました。例えば、ガバナンスのところでは、弊社の設置するサステナビリティ戦略委員会の開催頻度や、役員報酬制度はどのように気候関連の取り組みと紐づいているのか等、開示推奨項目に即した内容で見ていただきました。他にもシナリオ分析の時間軸の設定や表現の統一、図表の構成の仕方のような細かい点に関しても支援いただきました。
英訳についても元々は社内で完結していたのですが、今回は日本語版だけではなくて、英語版もご支援をお願いしました。社内には翻訳スタッフもおり、通常の英語であれば当然社内で対応できますが、気候変動の文脈で使われている英語には、特殊なものがあったりします。そのため、ある程度気候変動の知識を持っている方でないと、開示物としての英訳版の作成は難しい側面があると思っていました。この意味で、「このような英語表現を使うと外部の評価につながる」とか、「このような英語が今、気候変動の文脈の中では使われている」という側面で、最終的な成果物としてどういう評価を受けるのかという視点でもご支援いただけることからお願いしました。
日本郵船様社内外の変化
色々あるのですが、一つ目は社内業務効率的な目線でもとても改善ができたことがあります。今までは自分たちで考えながら動くという形で非効率な点も多かったのですが、限られた人員の中でTCFDの開示にあたって“今何に集中して改善すべきなのか”、“何を確認しなければいけないのか”について道筋を作っていただき、作業の効率化が図れました。もう一つは、自社取り組み内容と基準との整合、他社比較の可視化を『比較表』という形で頂戴できたことです。
比較表には、TCFD開示に関して、自社の対応、競合他社の対応、IFRS S2への適合状況を○△×で整理していただきましたが、それがマネジメントへの開示内容の説明や今後取るべきアクションの説明をするにあたって非常に有効でした。この比較表があることで、「以前の開示内容ではこの部分への言及が不足していたが、今回の改訂でかなりキャッチアップができている」、というところが一目で分かるようになりました。一方で、他社との比較もしていただいたので、当社が今後それらの点について先進的に取り組む機運も高められるようになっています。
TCFDの開示自体は勿論一つの目的ではありますが、“今後何をしなければいけないのか”というロードマップを示していただいたと思います。当社の脱炭素の取り組みをより皆様に理解いただくために更に何をすべきなのかが明確になったのが良かったと思っております。
社外の反応に関しては、これまで詳細に開示していなかったシナリオ分析に対する質問などTCFDの開示内容を参照された上での社外からの質問も受けるようになりました。その意味で、TCFDもかなり注目していただいているという認識を深め、今後も適切な情報の開示拡充を進めていきたいと考えております。
当社の支援対応
体感としては、手取り足取り1からご支援をいただいたと理解しています。当然、今までも社内でも熟慮をしたうえで開示を行っていましたが、あるべき開示に向けて今回大幅にTCFD開示の内容を改善できたのは、ブライトイノベーションさんにご支援いただいた結果だと思います。全方位で網羅的なご支援をいいだいたというポイントに加えて、論理の整合性や資料の体裁上の問題など、枝葉にいたる全てを見ていただいたという形です。
また、社内に知見自体はある一方、それらを特に開示という側面においてどうしても活用しきれていない部分がありましたが、CDPもTCFDも網羅的にご支援いただいたことで、これらの情報をしっかりリンクさせることができたと感じています。こうした成果については私だけでなく当社チーム員や役員も含めて実感しているところでして、ブライトイノベーションさんにご支援いただいて大変助かったと思っております。

日本郵船社様の今後の取り組み目標
情報開示の観点では、まずはSSBJ基準への適切な対応を着実に進めることが重要であると考えています。
また、これまでのTCFD開示の高度化をご支援いただく中で、当社としてさらに改善すべき点や課題も明確になりました。今後はそれらの課題にも着実に対応しながら、当社の気候変動への取り組みが持続的な成長やリスク低減、機会創出にどのようにつながっているのかを、ステークホルダーの皆さまにより分かりやすく、透明性をもってお伝えできるよう、情報開示の質の向上に努めていきたいと考えています。
